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こんにちは。Stillaアロマテラピースクール主宰、NARD JAPAN認定アロマ・トレーナー&アロマ・セラピスト 富田ゆかです。

2021年のお正月、皆様ゆっくりお過ごしになりましたか?

我が家は今年は自宅でお正月を迎え、三が日はお節料理と共にお屠蘇(とそ)を楽しみました。

思い返せば幼い頃から毎年、大晦日の「紅白歌合戦」が始まる頃に父と一緒に「屠蘇散」の袋を日本酒に浸すのが楽しみでした。

結局お正月にそれが飲めるのは大人だけでしたが、お屠蘇は私にとって新年の到来を告げる、親しみ深い漢方・生薬でした。
なんて芳しい匂いなんだろう(大人っていいな~)と、幼心に横から香りを楽しんでいましたっけ。

実家を離れても、未だに「紅白歌合戦が始まる」=「屠蘇散をセットしなくては!」という感覚がしっかりとあります。

帰省しなかった今年は自宅で屠蘇器を出して用意したところ、娘が横から「ジンジャーエールみたいなピリッとした匂いがする」と嬉しそうに近づいてきましたよ。

ジンジャー(乾姜)こそ入っていないものの、確かにシナモン(桂皮)マンダリン(陳皮)あたりの香りにその雰囲気がありそうです。

香りの記憶と一緒に、娘にもこの習わしが伝わっていくのかもしれないな~なんて、嬉しく感じました。

お屠蘇とは?

お屠蘇とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月(元旦)に飲む、縁起物の薬酒です。

漢方の「屠蘇散」または「屠蘇延命散」と呼ばれる生薬ブレンドをみりん日本酒に浸して作ります。

「屠蘇散」は、毎年11月頃からドラッグストアやスーパーなどで150~200円程度で手に入ります。
また、この時期にお店で売られている本みりんの瓶に、プレゼントとして添付されていることもあります。

お屠蘇は、屠蘇器と呼ばれる酒器揃えを用いて供されます。
小・中・大の三種の盃を用いて飲みます。

元日の朝、年少者から年長者の順番でいただきます。

「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」と言われます。

お屠蘇の行事は中国で唐の時代にはじまり、日本には平安時代に伝わりました。
9世紀の桓武天皇の時に宮中の元旦の行事となり、その後、一般庶民に広がっていったと言われています。

「屠蘇散」の語源=”蘇を屠る”粉薬

「屠蘇」の語源については諸説ありますが、「災いや病気などをもたらす悪い鬼」を意味する「蘇(そ)」を「屠(ほふ)る(殺す、バラバラにして退治する)」から来ているという説が有名です。

屠蘇散に配合される代表的な生薬

  • 紅花(こうか)
  • 防風(ぼうふう) or 浜防風(はまぼうふう)
  • 蒼朮(そうじゅつ)
  • 白朮(びゃくじゅつ)
  • 陳皮(ちんぴ)
  • 桔梗(ききょう)
  • 丁字(ちょうじ)
  • 山椒(さんしょう)
  • 甘草(かんぞう)
  • 桂皮(けいひ)
  • 茴香(ういきょう) or 小茴香(しょうういきょう)
  • 大茴香(だいういきょう)

など。

この中から、一般的に5~10種類程度の生薬を調合して屠蘇散が作られます。

アロマテラピーの精油にもなっている生薬もありますね。
《陳皮》はマンダリン、《丁子》はクローブ、《桂皮》はシナモン、《茴香(=小茴香)》はフェンネル、《大茴香》はスターアニスです。

お屠蘇の仕込み方

大晦日、みりん(本みりん)または日本酒 300ml程度に、屠蘇散1包(2~6g程度)を入れます。

パウダー状の屠蘇散の場合、大晦日の<夜>に仕込みます(7~8時間浸出)。
生薬をすり潰していない場合は、大晦日の<朝>に仕込みます(24時間程度浸出)。

元旦の朝、屠蘇散の包みを引き上げれば出来上がり。
日本酒の場合はお好みで砂糖を加えて甘みをつけても良いでしょう。

お屠蘇の効用

効用は屠蘇散に配合する生薬の処方で変わりますが、多くは健胃作用初期の風邪などに向くようです。

また、屠蘇散を浸すみりん日本酒には、ブドウ糖、必須アミノ酸、ビタミン類も含まれ、適度の天然アルコールは血行を促進させてくれます。みりん(本みりん)にもアルコールが13~14%前後含まれます。

古の人々にとって、お屠蘇は滋養強壮のための大変貴重な飲み物だったことでしょう。

 

尚、現代のお正月用の「屠蘇散」の生薬の分量は、医薬品漢方薬ではなく食品レベルで調合されています。

禁忌などの心配が少ない、作用の穏やかな”健康飲料”の位置付けで捉えていただくと良いでしょう。

(漢方薬レベルで屠蘇散を服用される場合は、生薬それぞれの禁忌・注意と、体質との関係性がありますので、専門家による指導を受けてください。)

 

今年は何と言っても、疫病退散・コロナ退散が世界中の人類共通の願いですね。

実は私はここ2年半ほどお酒を全く飲まずに過ごしていたのですが、今年はそんな願いで縁起を担ごうと、久々に味わったお屠蘇でした。

一方で、お正月も関係なく必死に頑張られている医療関係者の方々のことも報道で見聞きしています。本当にありがとうございます。ウイルスに感染してこの病と闘っている多くの方々も、とにかく無事に回復されますことを心から祈っています。

一刻も早く収束へ向かい、世界が落ち着きを取り戻しますように。

一人一人ができることは、まずは自分たちの心身の健康を守ること。元気に過ごしましょう。

 

 

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